なぜ後期高齢者医療制度は名称が変わったのでしょうか?
2008年4月1日、いよいよ後期高齢者医療制度が実施されることになりました。
実施の際、一つの変更が成されることになりました。
それが、この制度の名称変更です。
今まで後期高齢者医療制度という名称だったこの制度の名称を、長寿医療制度と変更したのです。
これは、前福田康夫首相の政治的判断により行われたと言われています。
この名称変更が行われた背景にあるのが、後期高齢者という名称の不評さです。
この後期高齢者の元々の由来は、2006年に政府が定めた「65〜74歳は前期高齢者」「75歳以上は後期高齢者」というところから取ったものになるのです。
しかし、この後期高齢者という独自の表現には、同じ人間を数字によって一律に線引したという事への不満、後期=末期と言われているように感じてしまうようだという怒りの声が方々からよせられています。
そのような経緯から、この後期高齢者医療制度という名称で発表した時点から、そもそも好意的に受け入れられるという事はありませんでした。
それゆえに、後期高齢者から長寿医療制度という名称の変更は、そういった不快感を感じる人達への配慮ということを踏まえて行われたという事になっているのです。
しかしながら、福田前首相のこの名称変更の提案はあまりに急だったが故に、この制度を説明するパンフレットなどには、変更が間に合わず、前のままの後期高齢者医療制度と記されるなど、非常にお粗末な結果となりました。
なにより根本的なことは、名称を変えただけで一体何になるのか、制度を見直すことなく、名称さえ変えてみれば国民が納得するとでも思っているのかなど、高齢者の感情のみならず多くの国民の感情を逆なでした感すら漂っており、正直な感想としては成果はさほどなかったのではないかと思えます。
この名称変更の本当の背景には、国民への配慮というよりは、政治的戦略の色が濃かったように思えるのは私だけではないはずです。
制度施行のギリギリで名称を急に差し替えた事も含めて、そういった意図が見え隠れしてしまいます。
福田前首相が考慮したでありましょう長寿医療制度という名称も、結果的には反対に皮肉めいた印象のみが目立った感じがしてなりません。