後期高齢者医療制度による変更点その3
老人保健法による医療制度での病院などでの医療費の自己負担率は、通常1割、現役並みの所得者(高所得者)においては3割という基準が設けられていました。
実はこの割合は、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)でも変化はありません。
医療費負担額の割合は、今までと同じように1割ないしは3割で固定です。
では、なぜ負担の割合が同じなのに、高齢者の負担が増加しているとマスコミ等で報道されているのでしょうか。
実はその要因は、医療費の割合ではなく保険料にあるのです。
従来の制度である老人保健法による医療制度では、サラリーマンなどの、健康保険に加入している人に扶養されている高齢者の方(被扶養者)では、保険料は免除という制度になっていました。
しかし、今回の新しい長寿医療制度(後期高齢者医療制度)では、75歳以上か、もしくは一定以上の障害を持っていて65歳以上の方は、今までの健康保険から強制的に脱退させられ、お住まいの県の後期高齢者保険に新たに加入するという流れになります。
したがって、新しい制度では今までのような免除は受けることができなくなりました。
加入者全員(被保険者全員)が県の広域連合に対して保険料を支払わなければならなくなったのです。
さらには、年間で18万円以上の年金の受給を受けておられる高齢者では、この年金から強制的に保険料が天引きされます。
これが、2008年4月1日以降、この制度が世間を騒がしている原因なのです。
自分で後で納付するとシステムではなく、強制的に年金から天引きされてしまうということをご存じでなかった方々は、自分だけ年金を不当に下られた、もしくは年金から誰かが勝手にお金を持ち出したと思いこんで、市役所などの様々な機関にあわてて問い合わせを行ったというわけです。
また、高齢者の中には2008年4月から保険料が天引きになるということを全く知らなかった方も大勢おられますし、そもそも高齢者の医療制度が変わるということを知らない高齢者はたくさんおられたようです。
ここ数年、高度情報化社会に突入していると言われていますが、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の国民に対しての制度の普及は、まだまだ十分でないのが現状のようです。