後期高齢者医療制度による医療サービスの変化は?
新しい医療制度である、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の施行により、都道府県別に独自の医療報酬を設定することができるようになりました。
このことが、地域格差をさらに助長するという意見もあるのですが、それ以上に懸念されているのが、医療サービスが縮小するのではないかということです。
どういうことかと言いますと、この制度によって医療費を上手に抑制することができず、経営が苦しくなる病院が増え、病院格差・医療格差などがより大きくなり、最終的に病院での医療サービスの質が低下もしくは劣化してしまうのではないかと言うことです。
高齢者の方は、移動が困難やせっかく顔を覚えてもらったので、なかなか行きつけ・かかりつけのお医者さん以外にはあまり変えたがらない傾向が見られます。
高齢者では「前々から知ってるし、もしろん信用しているお医者さんだからずーっと通っている」という方が殆どといっても過言ではないでしょう。
しかし、万が一その行きつけの病院が経営難になり医療サービスの縮小を行わざるを得なくなり、高齢者の方々が十分な治療を受けられなくなってしまったら、とても大きな問題といえるでしょう。
長寿医療制度(後期高齢者医療制度)は、このまま何も変えず、現状の体制のままだと、今まで以上に医療サービスの格差を作り上げることにもなりかねません。
しかし、残念ながらこのようなことに関して決して十分な検討がなされないまま、すでに制度は試行されています。
ましてや、試行された直後では、この格差が起こる可能性については、これからさらなる対策がなされるとはまだ考えにくい状況です。
それを考えていたのであれば、そもそもこの制度の法案がこんなに簡単に通るわけはないでしょうから。
患者にとっても、小さな病院にとっても、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)は今以上に厳しい制度となるといわざるを得ません。
しかし、逆を考えてみますと、これは同時に、今まで医者に頼り切りであった人たちに対して警鐘でもあります。
つまり、日ごろから規則正しい生活を送り、お酒などをしっかり節制し、できるだけお医者さんの世話にならないような身体を日頃から注意して作る事で、生きていく上でのリスクを避けようという動きでもあるのです。
この制度に関しての不満は多く出されていますが、不満を嘆いたでは現実問題として何も変わりません。
そう考えると、結局は制度の動向うんぬんという前に、最終的には自分の体は自分で守ることが最も確実であるということなのです。